地価動向
国土交通省 不動産情報ライブラリ |
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/ |
京都府 京都府の地価(土地情報) |
http://www.pref.kyoto.jp/youchi/tochi.html |
令和7年地価公示の結果による京都府の地価の特徴
京都府
府内15市7町の622地点が対象となり、全用途平均は、前年の+2.6%から+3.7%と上昇幅が拡大した。
- 住宅地
- 京都府住宅地全体の平均変動率は、前年の+1.6%から+2.0%と、上昇幅が拡大した。
府内最高価格地は、御所西エリアに位置する京都上京-3(室町通下立売上る勘解由小路町)で750,000円/㎡。
金融緩和の継続による需要の下支え効果もあり好調な取引が続いており、都市中心部や生活利便性に優れた地域のみならず、郊外部においても、地価は総じて上昇傾向で推移した。なお、利上げによる需要の減退は現時点では特に認められず、引き続き需要は堅調である。
京都市住宅地全体の平均変動率は、前年の+2.5%から+3.2%と、上昇幅が拡大した。
京都府内においても、最も高い上昇率を示した。市内最高価格地は、府内と同地点である。
利便性の良いエリア、居住環境が良好なエリアにおける需要は底堅い。中心部では高額化が進んでいることから、周辺部にも需要が波及し、地価上昇幅が拡大する傾向がみられている。
京都市各区の平均変動率は、前年同様、全区で上昇傾向を示す結果となった。
特に中心部の上昇率が高く、最も高いのは東山区で+6.6%の上昇率を示した。観光地に近いエリアの住宅地において、観光産業好調の影響を受け、地価が押し上がっている。
住宅地における個別地点の最大の上昇率は京都東山-4(高台寺南門通下河原東入桝屋町)で、+11.7%。2桁という強い上昇率を示しているのは、当該地点が清水寺からも近く、二年坂の一本東側の通りとなることから、セカンドハウス需要も見込めることが理由に挙げられる。
次に高い区が下京区と南区で共に+6.1%の上昇。下京区は京都駅の北側、南区は京都駅の南側に位置し、京都駅周辺の地価の上昇率が高くなっている。
4番目が、上京区の+5.4%。特に、御所周辺の住宅地の人気は健在である。
5番目が中京区の+5.0%と続いており、中心部の上昇率が高いという特徴が挙げられる。
京都市以外において、最も高い上昇率を示したのが宇治市で+3.2%の上昇となった。2番目が城陽市で+2.7%、3番目が長岡京市+2.6%。
宇治市は京都市の南側に位置し、人口は府内で京都市に次いで多く、昨今の京都市の地価高騰により、需要が宇治市に波及している。
城陽市においては、令和5年3月にJR奈良線複線化第二期事業が開業し、京都駅までの所要時間が短縮したこともあり、駅徒歩圏内の地価の上昇が見られる。
長岡京市の上昇要因は、阪急電鉄とJRの2路線が利用可能で、京都へも大阪へも通勤が可能な上、JR「長岡京」駅と阪急「長岡天神」駅を結ぶ道路の拡幅工事が進捗しており、ますます需要が強くなっていることが挙げられる。
京都市より南側のエリアは、総じて、地価上昇傾向を認めることができる。下落しているのは、井手町のみ、横ばいは宇治田原町のみである。
京都市より北側のエリアについては、平均変動率がマイナスの市町が多く、+1%未満の微増の亀岡市と福知山市を除き、下落傾向が続いている。京丹波町が▲2.5%と最も下落幅が大きい。変動要因は、高齢化や人口減少が進み、京都縦貫道の延伸により、都市間の中間町として市況の低迷が継続していることが挙げられる。
京都市より北側のエリアにおいて平均変動率が上昇を示したのは、亀岡市(+0.7%)と福知山市(+0.2%)の2市にとどまった。亀岡市は、京都市の北側に位置していることから、京都市への通勤・通学にも難は認められず、市内中心部や、周辺部の鉄道駅に近いエリアにおける戸建住宅の新規分譲地の売行は堅調である。
- 京都府住宅地全体の平均変動率は、前年の+1.6%から+2.0%と、上昇幅が拡大した。
- 商業地
- 京都府商業地全体の平均変動率は+7.9%と、前年の+5.1%から上昇幅が拡大した。
府内最高価格地は、四条河原町交差点の北西角に位置する京都下京5-1(四条通寺町東入2丁目御旅町)で10,500,000円/㎡。
インバウンドを含み人流が増加し、ホテル・マンション・店舗用地需要は強含みで推移しており、地価は上昇傾向を示している。特に観光需要は旺盛で、観光地や繁華街において、相対的に高い上昇率が見られる。オフィスの賃貸需要は堅調で、空室率も依然低水準を保っている。マンション適地も引き続き好調で、住宅地及び商業地の地価を押し上げている。
京都市各区の平均変動率は、前年同様、全区で上昇傾向を示す結果となった。市全体の平均変動率も、前年の+6.6%から+10.2%と、上昇幅は拡大している。
市内最高価格地は、府内と同地点である。継続地点全地点が上昇した。
11区のうち5つの区が+10%以上の上昇率を示した。中でも南区が突出しており、+19.4%の上昇率となった。
住宅地同様、京都駅周辺の地価上昇が目立っており、特に京都駅より南側は北側より地価水準が低いエリアが広がっていることもあり、高い上昇率につながっている。
京都駅周辺の開発動向として、令和5年10月に京都駅の東側に京都市立芸術大学が移転し、令和11年には、京都駅北側至近に位置する京都中央郵便局の建替が予定されているほか、同駅の南東側では、チームラボが進出する予定となっている。
南区に続いて高い上昇率を示したのが、観光資源が豊富な東山区で+13.7%の上昇となった。3番目が+11.4%の上昇率を示した中京区、4番目が共に+10.3%の上昇率を示した上京区と下京区。当該5区は、順番の入れ替えはあるものの、住宅と同じ中心5区である。その他の6区は、+10%未満の上昇となっている。
京都市における旅館業法許可施設数は、令和6年12月末日時点で、旅館・ホテル628、簡易宿所2,925の総計3,553施設となっている。新規許可件数について、平成29年度、30年度は旅館・ホテルと簡易宿所の合計で、年間900件を超えていたところ、令和元年度は663件と前年度から約28%減少し、令和2年度は422件、令和3年度は203件、令和4年度は143件、と減少傾向が続いていたが、令和5年度は224件と再び増加傾向を示している。総客室数は、コロナ禍においても増加傾向を示しており、宿泊施設の需給関係は厳しい状況が続いている。
住宅地同様、京都市の南側のエリアにおいて、高い上昇率を示した。
5市が+3%以上の強い上昇を示した。最も高い上昇率を示したのが、向日市で+5.9%、2番目が城陽市で+5.7%、3番目が長岡京市で+5.5%、4番目が宇治市で+5.4%、5番目が京田辺市で+4.0%の上昇率となった。
大型の開発計画(JR向日町駅周辺)や区画整理事業(阪急洛西口駅の西側エリア)が計画されている向日市や道路拡幅等が行われている長岡京市では、強い上昇が見られる。
また、城陽市においては、東部丘陵地長池地区において仮称「京都城陽プレミアム・アウトレット(約150店)」が開業を控えている影響もあり、+5.7%の上昇となった。新名神高速の大津~城陽間の開通が大幅に遅れる見通し(NEXCO西日本が令和6年12月に発表)となっており、同アウトレットの開業も遅れる予定となっているが、同施設オープンへの期待感が強く、周辺における需要は高まっている。
これに対し、京都市より北部のエリアにおいては、前年同様、下落又は横這いとなっており、市況の低迷が継続している。北端の京丹後市が▲1.8%で下落トップとなった。但し、下落幅は、前年の▲2.4%から縮小している。
府内上昇率1位は、京都南5-5(東九条上殿田町)で+21.9%(前年+15.5%)、4,450,000円/㎡。京都駅南側の八条口近辺の立地する希少性の高い商業地域にあって、駅界隈の再開発動向、観光需要回復の影響により、地価は大きく上昇した。
宮津市は、前年▲0.2%と下落傾向を示していたが、本年は+0.7%と上昇に転じた。市内中心部の商店街は閉店する店が多くなっており、引き合いは殆ど見られないが、天橋立を中心とする観光客は増加傾向にあり、商業地需要は観光関連を中心に回復傾向がみられる。舞鶴市は、前年横ばいであったが、本年は+0.1%の微増となった。駅近の商業地である舞鶴5-4(森町)に、住居系の需要もあり、回復傾向が見られている。
- 京都府商業地全体の平均変動率は+7.9%と、前年の+5.1%から上昇幅が拡大した。
- 工業地
- 京都府工業地全体の平均変動率は、前年の+5.9%から+7.4%と、上昇幅が拡大している。
ネット通販は依然好調であることから、物流施設用地に対する需要は堅調である。
府内最高価格地は、京都右京9-2(西院清水町)で230,000円/㎡。多用途が競合する事業用地の需給が強含みで、前年の建築規制緩和も相まって上昇率が拡大している。
京都市内には南区に6地点、右京区と伏見区に各4地点、山科区に2地点、下京区に1地点の計17地点あり、全地点が上昇し、平均変動率も+6.8%から+8.1%へと上昇幅は拡大している。
市内最高価格地は、府内と同地点である。
新型コロナによる新たな物流需要が創出されて以降、工業地需要は堅調さを増している。
京都市より南部のエリアについては、工業地を配する宇治市、城陽市及び久御山町のすべてで上昇しており、上昇幅も拡大している。
3市町で最も高い上昇率を示したのは、久御山町で+8.9%の上昇となった。久御山町では23㏊の産業立地促進ゾーンが予定されているなど、旺盛な需要に対して、用地不足解消を進めている状況となっている。
新名神高速道路の全線開通は予定より遅れているものの、令和10年に名神高速道路と第二京阪道路が接続予定であることから、京都南部エリアの優位性がより高まっており、新名神開通に向けて、さらなる企業進出の動向が注視される。
京都市より北部のエリアにおいても、本年は工業地を配する全市町で上昇幅を強めており、特に綾部市では+8.8%の上昇を示している。内陸型の工業団地で、引き合いはあるものの供給がない状況となっている。また、舞鶴市の工業地の需要も回復傾向にある。
北部は南部に比べ、消費地としての規模が小さく、物流倉庫の立地としては厳しい環境にあるが、新名神への期待から好調に推移している南部の工業地では土地の取得が難しく、工業地好調の影響が、北部エリアにも広がっている。
府内上昇率1位は、京都伏見9-3(久我石原町)で、+12.6%(+10.2%)、116,000円/㎡。5千㎡超を擁し、業務地需要は依然強く、用地不足により地価も上昇傾向が継続している。
- 京都府工業地全体の平均変動率は、前年の+5.9%から+7.4%と、上昇幅が拡大している。
令和6年地価調査の結果による京都府の地価の特徴
(京都府発表資料から抜粋)
【地価調査の結果】
京都府域における基準地価格の対前年平均変動率は、住宅地は前年の0.5%から1.1%へ、商業地 は前年の3.0%から5.7%へ、工業地は前年の6.7%から7.6%へといずれも上昇幅が拡大した。全体としても1.3%から2.4%へと上昇幅が拡大した。また、継続調査地点(林地を除く)390地点のうち、上昇地点は231地点、横ばいは52地点、下落地点は107地点となった。
【住宅地の地価の特徴】
新型コロナウイルス感染症の感染拡大などにより、令和2年から令和4年までは下落傾向が続いたが、コロナ禍の収束に伴い昨年は再び上昇傾向に転じ、本年は上昇幅が拡大している。
【商業地の地価の特徴】
新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類が「5類」に移行したことに伴い、インバウンドを含む人流が回復し、ホテル・マンション・店舗用地需要に回復傾向が見られ、地価は上昇している。特に観光地や繁華街においては高い上昇率が見られ、錦小路や京都駅前、伏見稲荷では20%超の上昇率を示す地点もある。オフィス系商業地についても賃貸需要は堅調で、空室率も依然低水準を保っている。
【工業地の地価の特徴】
新型コロナウイルス感染症の感染拡大がもたらした「巣ごもり需要」により、ネット通販が依然好調であることから物流施設用地に対する需要は堅調である。府南部地域の工業地の地価は、新名神高速道路開通への期待感から強含みで推移しており、特に宇治田原町の地点は18.2%と強い上昇率を示している。
令和6年地価公示の結果による京都府の地価の特徴
京都府
府内15市7町の632地点が対象となり、全用途平均は、前年の+1.3%から+2.6%と上昇幅が2倍に拡大した。
- 住宅地
- 京都府住宅地全体の平均変動率は、前年の+0.7%から+1.6%と、上昇幅が拡大した。
上昇地点数は前年の257地点から303地点に増加し、下落地点が103地点から85地点に減少し、横ばいの地点は89地点から60地点に減少した。
京都府全体として、住宅地について、回復傾向が認められている。
京都市住宅地全体の平均変動率は、前年の+1.2%から+2.5%と、上昇幅が拡大した。利便性の良いエリア、居住環境が良好なエリアにおける需要は底堅い。
京都市各区の平均変動率は、前年同様、全区で上昇傾向を示す結果となった。
上昇地点数は前年167地点から197地点へと増加し、下落地点は前年の17地点から10地点に減少し、横ばい地点が、前年の33地点から11地点に減少した。
京都市より南部では、前年は、木津川市、井手町、精華町の3市町において、下落傾向を示していたが、本年下落傾向を示したのは、井手町のみとなり、木津川市は横ばい、精華町は上昇に転じた。人口減少、高齢化の状況は継続しているものの、回復傾向を認めることができる。
京都市より北部では、前年は亀岡市、福知山市が上昇傾向、与謝野町が横ばい、それ以外が下落傾向を示していたが、本年は亀岡市と福知山市が上昇を継続したものの、与謝野町は下落に転じた。他の市町では、前年同様、人口減少、高齢化要因により地価下落が継続している。
- 京都府住宅地全体の平均変動率は、前年の+0.7%から+1.6%と、上昇幅が拡大した。
- 商業地
- 京都府商業地全体の平均変動率は+5.1%と、前年の+2.5%から上昇幅が拡大している。
新型コロナウイルスの感染法上の分類が2類から5類に引き下げられ、インバウンドを含み人流が回復し、ホテル・マンション・店舗用地需要に回復傾向が見られ、地価は上昇している。特に観光需要は旺盛で、観光地や繁華街において、相対的に高い上昇率が見られる。オフィスの賃貸需要は堅調で、空室率も依然低水準を保っている。マンション適地も引き続き好調で、住宅地及び商業地の地価を押し上げている。
継続146地点の内、上昇が125地点(前年119地点)、横ばい11地点(前年16地点)、下落10地点(前年10地点)となった。
京都市各区の平均変動率は、前年同様、全区で上昇傾向を示す結果となった。平均変動率も、前年の+3.3%から+6.6%と上昇幅が拡大し、力強く上昇している。
前年は、京都市内の継続102地点のうち、98地点が上昇し、横ばいが4地点、下落した地点はなかったが、本年は、継続103地点全地点が上昇した。
京都市における旅館業法許可施設数は、令和5年12月末日時点で、旅館・ホテル637、簡易宿所2,790の総計3,427施設となっている。新規許可件数について、平成29年度、30年度は旅館・ホテルと簡易宿所の合計で、年間900件を超えていたが、令和元年度は663件と前年度から約28%減少し、令和2年度は422件、令和3年度は203件、令和4年度は143件と減少傾向が続いている。但し、総客室数は、コロナ禍においても増加傾向を示し、令和4年度に58,580室と、令和3年度からわずかに減少したものの、宿泊施設の需給関係は厳しい状況が続いている。
京都市より南部のエリアにおいては、商業地の地点を配する8市町の内、前年は、宇治田原町のみ横ばいで、他の7市は上昇していたが、本年は、宇治田原町も上昇傾向を示し、全市町において、上昇傾向が見られる。特に、道路拡幅等が行われている長岡京市や、大型の開発計画(JR向日町駅周辺)や区画整理事業(阪急洛西口駅の西側エリア)が計画されている向日市では、+5.0%前後のやや強い上昇率が見られる。
京都市より北部のエリアにおいては、商業地の地点を配する9市町の内、前年は、亀岡市のみが上昇傾向を示し、南丹市、綾部市が横ばい、他の6市町は下落傾向を示していたが、本年は、亀岡市が横ばいとなり、上昇した市町はなく、舞鶴市が下落から横ばいとなったものの、他の市町は、前年同様、下落又は横ばいとなっており、地域経済の衰退等、厳しい状況が継続している。
- 京都府商業地全体の平均変動率は+5.1%と、前年の+2.5%から上昇幅が拡大している。
- 工業地
- 京都府工業地全体の平均変動率は、前年の+3.9%から+5.9%と、上昇幅が拡大している。新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした、いわゆる「巣ごもり需要」により、ネット通販は依然好調であることから、物流施設用地に対する需要は堅調である。
上昇地点数は前年の20地点から27地点と増加し、前年は下落地点が1地点見られたが、本年下落した地点は見られず、横ばいの地点は8地点から2地点となった。
京都市内には、南区に6地点、右京区と伏見区に各4地点、山科区に2地点、下京区に1地点の計17地点あり、昨年横ばいを示していた山科区の2地点含め、本年は全地点上昇し、平均変動率も+4.7%から+6.8%へと上昇幅は拡大している。新型コロナによる新たな物流需要が創出される等、工業地需要は堅調さを増している。
京都市より南部のエリアについては、工業地を配する久御山町、城陽市及び宇治市のすべてで上昇しており、上昇幅も拡大している。
新名神高速道路の城陽-八幡京田辺間が平成29年4月30日に開通し、令和9年度全線開通の予定となっている。さらに令和10年に名神高速道路と第二京阪道路が接続予定であり、京都南部エリアの優位性がより高まっており、新名神開通に向けて、さらなる企業進出の動向が注視される。
京都市より北部のエリアにおいても、前年は、福知山市が下落傾向、舞鶴市、綾部市及び京丹波町は横ばいとなっていたが、本年は工業地の地点を配する全市町で、上昇傾向を示しており、工業地好調の影響が、北部エリアにも広がっている。
- 京都府工業地全体の平均変動率は、前年の+3.9%から+5.9%と、上昇幅が拡大している。新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした、いわゆる「巣ごもり需要」により、ネット通販は依然好調であることから、物流施設用地に対する需要は堅調である。
令和5年地価調査の結果による京都府の地価の特徴
(京都府発表資料から抜粋)
【地価調査の結果】
京都府域における基準地価格の平均変動率は、住宅地は前年の△0.2%から0.5%と下落から上昇に転じ、商業地は前年の1.4%から3.0%へと上昇率が拡大した。工業地は4.5%から6.7%へと上昇率が拡大し、全体としては0.4%から1.3%へと上昇率が拡大した。また、継続調査地点(林地を除く)391地点のうち、上昇地点は210地点、横ばいは62地点、下落地点は119地点となった。
【住宅地の地価の特徴】
新型コロナウイルス感染症の感染拡大などにより、令和2年から令和4年までは下落傾向が続いたが、コロナ禍の収束に伴い京都市域の上昇率が拡大し、府全体の上昇率を押し上げた。
【商業地の地価の特徴】
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が「5類」に移行したことに伴い、人流が回復し、ホテル・店舗用地の需要に回復が見られ、オフィス系商業地についても賃貸需要は堅調である。観光地や繁華街でも観光客等は増加しており、地価の上昇傾向の拡大が認められる。
【工業地の地価の特徴】
新型コロナウイルス感染症の感染拡大がもたらした「巣ごもり需要」により、ネット通販が依然好調であることから物流施設用地に対する需要は堅調である。また、新名神高速道路開通への期待感から府南部の工業地の地価は強含みで推移している。
令和5年地価公示の結果による京都府の地価の特徴
京都府
府内15市7町の632地点が対象となり、全用途平均は、前年の+0.3%から+1.3%と上昇幅が拡大した。
- 住宅地
- 京都府住宅地全体の平均変動率は、前年の+0.1%から+0.7%と、上昇幅が拡大した。上昇地点数は前年の154地点から257地点と大幅に増加し、下落地点が147地点から103地点に減少し、横ばいの地点は149地点から89地点と、減少した。
京都府全体として、住宅地について、回復傾向が認められる。
京都市住宅地全体の平均変動率は、前年の+0.5%から+1.2%と、上昇幅が拡大した。利便性の良いエリア、居住環境が良好なエリアにおける需要は底堅い。
京都市各区の平均変動率は、前年、伏見区と山科区が下落傾向を示していたが、本年は、全区で上昇傾向を示す結果となった。
上昇地点数は前年107地点から167地点へと増加し、下落地点は前年の33地点から17地点に減少し、横ばい地点が前年の79地点から33地点に減少した。
京都市より南部では、前年は、八幡市、京田辺市、木津川市、井手町、宇治田原町、精華町において、下落傾向を示していたが、本年下落傾向を示したのは、木津川市、井手町、精華町の3市町にとどまった。人口減少、高齢化の影響は継続しているものの、新型コロナウイルス感染拡大からの回復傾向を認めることができる。
京都市より北部では、前年は与謝野町以外、全て下落傾向を示していたが、本年は亀岡市と福知山市が上昇に転じた。与謝野町は横ばい、他の市町では、人口減少、高齢化による要因により地価下落が継続している。
- 京都府住宅地全体の平均変動率は、前年の+0.1%から+0.7%と、上昇幅が拡大した。上昇地点数は前年の154地点から257地点と大幅に増加し、下落地点が147地点から103地点に減少し、横ばいの地点は149地点から89地点と、減少した。
- 商業地
- 京都府商業地全体の平均変動率は+2.5%と、前年の+0.5%から上昇幅が拡大した。国内における人流の回復や入国制限の緩和を受け、ホテル・マンション・店舗用地需要に回復傾向が見られ、地価は上昇している。特にマンション需要は旺盛で、マンション適地においては、相対的に高い上昇率を示している。オフィスの賃貸需要は堅調で、空室率も依然低水準を保っている。観光地や繁華街においても観光客や顧客数が増加しており、地価の上昇傾向が認められる。
継続145地点の内、上昇が119地点(前年61地点)、横ばい16地点(前年48地点)、下落10地点(前年33地点)となった。
京都市では、前年は伏見区、南区、山科区の3区が下落していたが、本年は、全区で上昇した。京都市における平均変動率も、前年の+0.7%から+3.3%と上昇幅は拡大している。前年は、京都市内の継続101地点のうち、52地点(約51%)が上昇し、横ばいが30地点(約30%)、下落した地点が19地点(約19%)であったが、本年は、継続102地点の内、上昇地点は98地点(約96%)と大幅に増加し、4地点(約4%)が横ばい、下落した地点は見られていない。
京都市における旅館業法許可施設数は、令和5年2月末日時点で、旅館・ホテル653、簡易宿所2,793の総計3,446施設となっている。新規許可件数について、平成29年度、平成30年度は旅館・ホテルと簡易宿所の合計で、年間900件を超えていたが、令和元年度は663件と平成30年度から約28%減少し、令和2年度は422件、令和3年度は203件と減少傾向が続いている。但し、総客室数は、令和3年度に58,616室と依然として増加しており、宿泊施設の需給関係は厳しい状況が続いている。
京都市より南部のエリアにおいては、商業地の地点を配する8市町の内、前年は、宇治市のみ下落(城陽市は選定替により該当なし)となっていたが、本年は、宇治田原町は横ばいで、その他の市においては、上昇傾向が見られている。特に、道路拡幅等が行われている長岡京市や、大型の開発計画(JR向日町駅周辺)や区画整理事業(阪急洛西口駅の西側エリア)が計画されている向日市では、+3.0%以上のやや強い上昇率が示されている。
京都市より北部のエリアにおいては、商業地の地点を配する9市町の内、亀岡市のみが上昇傾向を示し、南丹市、綾部市が横ばい、他の6市町は下落傾向を示している。地域経済の衰退等、厳しい状況が継続している。
- 京都府商業地全体の平均変動率は+2.5%と、前年の+0.5%から上昇幅が拡大した。国内における人流の回復や入国制限の緩和を受け、ホテル・マンション・店舗用地需要に回復傾向が見られ、地価は上昇している。特にマンション需要は旺盛で、マンション適地においては、相対的に高い上昇率を示している。オフィスの賃貸需要は堅調で、空室率も依然低水準を保っている。観光地や繁華街においても観光客や顧客数が増加しており、地価の上昇傾向が認められる。
- 工業地
- 京都府工業地全体の平均変動率は、前年の+2.2%から+3.9%と、上昇幅が拡大した。新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした、いわゆる「巣ごもり需要」により、ネット通販は依然好調であることから、物流施設用地に対する需要は堅調である。
上昇地点数は前年同様20地点、下落地点が4地点から1地点に減少し、横ばいの地点は5地点から8地点となった。
京都市内には、南区に6地点、右京区と伏見区に各4地点、山科区に2地点、下京区に1地点の計17地点あり、横ばいを示す山科区の2地点を除き、いずれも上昇傾向を示しており、平均変動率も+2.6%から+4.7%へと上昇幅が拡大している。新型コロナウイルスによる新たな物流需要が創出される等、工業地需要は堅調さを増している。
京都市より南部のエリアについては、工業地を配する久御山町、城陽市及び宇治市のすべてで上昇しており、上昇幅も拡大している。
新名神高速道路の城陽-八幡京田辺間が平成29年4月30日に開通し、令和9年度全線開通の予定となっている。さらに令和10年に名神高速道路と第二京阪道路が接続予定であり、京都南部エリアの優位性がより高まっている。一時期に比べ経済状況にやや改善の兆しがうかがえる中、新名神全線開通に向けて、さらなる企業進出の動向が注視される。
京都市より北部のエリアにおいては、福知山市のみ下落が継続しているが、舞鶴市、綾部市及び京丹波町は横ばいとなっており、下げ止まり傾向が見られている。
- 京都府工業地全体の平均変動率は、前年の+2.2%から+3.9%と、上昇幅が拡大した。新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした、いわゆる「巣ごもり需要」により、ネット通販は依然好調であることから、物流施設用地に対する需要は堅調である。
令和4年地価調査の結果による京都府の地価の特徴
(京都府発表資料から抜粋)
【地価調査の結果】
京都府域における基準地価格の平均変動率は、住宅地は前年の△0.6%から△O.2%へと下落率が縮小し、商業地は前年の△0.6%から1.4%へと下落から上昇に転じた。工業地は2.9%から4.5%へと上昇率が拡大し、全体としては△0.5%から0.4%へと下落から上昇に転じた。
また、継続調査地点(林地を除く)386地点のうち、上昇地点は161地点、横ばいは87地点、下落地点は138地点となった。
【住宅地の地価の特徴】
新型コロナウイルスの感染拡大により、令和元年まで上昇傾向を示していた地価は令和2年から下落に転じている。本年も下落傾向が継続したが、昨年に比べてその影響は弱まっている。
【商業地の地価の特徴】
新型コロナウイルスの感染拡大により、店舗系商業地は収益性への影響は継続しており、下落している地点もみられるが、オフィス系商業地については、空室率が依然低くオフィス賃料にも変化がみられないことから、新型コロナウイルスの地価への影響は限定的であり、上昇傾向がみられる。
また、宿泊施設用地への打撃は大きいが、マンション需要の下支えがあるエリアにおいては上昇傾向がみられる。
【工業地の地価の特徴】
新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした、いわゆる「巣ごもり需要」によりネット通販が好調であることから物流施設用地に対する需要は堅調である。また、製造業関連用地についても回復基調が認められる。新名神高速道路開通への期待感から府南部地域の工業地の地価は強含みで推移している。
令和4年地価公示の結果による京都府の地価の特徴
京都府
府内15市7町の632地点が対象となり、全用途平均は、前年の▲0.9%から+0.3%とプラスに転じた。
- 住宅地
- 京都府住宅地全体の平均変動率は、前年の▲0.6%から+0.1%と、下落から上昇に転じた。都道府県別の変動率順位も、前年の20位から17位と、若干上がっている。
上昇地点数は前年の26地点から154地点と大幅に増加し、下落地点が260地点から147地点に減少し、横ばいの地点は164地点から149地点と、やや減少した。前年下落または横ばいの地点において、上昇に転じた地点が多く見受けられる。
新型コロナウイルス感染拡大により、前年、上昇から下落に転じたが、京都府全体として、住宅地については、回復傾向が認められる。
京都市住宅地全体の平均変動率は、前年の▲0.4%から+0.5%と、下落から上昇に転じた。
京都市各区の平均変動率は、前年、11区中、上昇傾向を示していたのは、上京区、中京区、下京区の3区のみであったが、本年は、伏見区と山科区を除き、全て上昇傾向を示す結果となった。
上昇地点数は前年20地点から107地点へと急増し、下落地点も前年の96地点から33地点に減少し、横ばい地点は前年の101地点から79地点とやや減少した。
新型コロナウイルス感染拡大により、前年は、利便性が劣るエリアを中心に下落圧力が見られたが、回復傾向が認められる。
京都市より南部では、前年は微増の長岡京市以外は、下落傾向を示していたが、本年は5市町(宇治市、向日市、長岡京市、大山崎町、久御山町)が上昇に転じたほか、城陽市が横ばいとなった。その他の6市町については、依然下落傾向が続いているが、井手町以外、いずれも下落幅が縮小している。人口減少、高齢化の影響は継続しているものの、新型コロナウイルス感染拡大からの回復傾向を認めることができる。
京都市より北部では、与謝野町が横ばいとなった以外は、他の全ての市町において、下落傾向を示している。但し、京丹後市を除き、下落幅は縮小している。人口減少、高齢化による要因により地価下落が継続しているものの、新型コロナウイルス感染回避等を理由とする北部への移住も見られており、そのことが下落幅縮小の要因となっている可能性がある。
- 京都府住宅地全体の平均変動率は、前年の▲0.6%から+0.1%と、下落から上昇に転じた。都道府県別の変動率順位も、前年の20位から17位と、若干上がっている。
- 商業地
- 京都府商業地全体の平均変動率は+0.5%と、前年は、新型コロナウイルスの影響により下落傾向を示していた(▲1.8%)が、再び上昇に転じた。都道府県別の変動率順位も、前年の42位から17位と、大幅に上昇した。京都の観光産業を直撃した新型コロナウイルスの影響から、回復傾向にあることを物語っている。これに対し、大阪府の状況は、依然厳しい。全国における商業地の下位変動率順位において、京都府はトップ10にランクインしていないが、1~6、8、9位は大阪市中央区等の地点となっており、大阪府においては、インバウンド消滅の影響が、未だ残っている状況といえる。
感染拡大の影響により、密となりやすい飲食、サービス業等を中心とする店舗系商業地については、売上減少、賃料(一時)減額等、収益性への影響は否定できず、地価への影響は継続している。オフィス系商業地については、空室率は依然低く、オフィス賃料にも変化がみられていないことから、現時点で地価への影響は限定的である。また、宿泊施設への打撃は大きいが、マンション需要の下支えがあるエリアにおいては、上昇傾向も見られている。継続142地点の内、上昇が61地点(前年4地点)、横ばい48地点(前年31地点)、下落33地点(前年108地点)と、上昇地点数の割合は、前年の約3%から、約43%に増加した。
京都市では、前年は11区全てで下落を示していたが、本年は、下落を示したのは、南区、伏見区、山科区の3区のみで、下落率も▲1%未満と微減にとどまった。京都市全体における平均変動率も、前年の▲2.1%から+0.7%と再び上昇に転じた。前年は、京都市内の継続101地点の内、3地点(約3%)が上昇し、横ばいが22地点(約22%)、下落が76地点(約75%)であったが、本年は、継続101地点の内、上昇地点は52地点(約51%)に増加し、30地点(約30%)が横ばい、19地点(約19%)が下落した。
新型コロナウイルス感染拡大による観光産業へのダメージを強く受け、前年▲6.9%の下落を示していた東山区は、本年+0.2%とわずかであるが上昇を示し、観光地を多く抱える東山区においても、新型コロナウイルスの影響からの回復を見てとることができる。一方で、特にインバウンドの後押しが強かった地点である京都伏見5-7(伏見稲荷)は、▲7.2%の下落と、依然、厳しい状況が継続しており、京都府下商業地トップの下落率となった。
京都市より南部のエリアにおいては、商業地の地点を配する8市町の内、前年は、向日市及び木津川市以外は、下落傾向を示していたが、本年は、宇治市と宇治田原町を除く市町において、上昇傾向を示しており、回復傾向が認められる。なお、城陽市には、商業地が1地点配置されているが、本年選定替えされたため、変動率は出ていない。特に、道路拡幅等が行われている長岡京市や、大型の開発計画(JR向日町駅周辺)や区画整理事業(阪急洛西口駅の西側エリア)が計画されている向日市では、+3.0%以上のやや強い上昇率が示されている。
京都市より北部のエリアにおいては、前年は、商業地の地点を配する9市町の内、亀岡市と南丹市が横ばい、他の7市町は下落傾向を示しており、本年も、綾部市が下落から横ばいに回復したほかは、前年同様の傾向が継続している。
- 京都府商業地全体の平均変動率は+0.5%と、前年は、新型コロナウイルスの影響により下落傾向を示していた(▲1.8%)が、再び上昇に転じた。都道府県別の変動率順位も、前年の42位から17位と、大幅に上昇した。京都の観光産業を直撃した新型コロナウイルスの影響から、回復傾向にあることを物語っている。これに対し、大阪府の状況は、依然厳しい。全国における商業地の下位変動率順位において、京都府はトップ10にランクインしていないが、1~6、8、9位は大阪市中央区等の地点となっており、大阪府においては、インバウンド消滅の影響が、未だ残っている状況といえる。
- 工業地
- 京都府工業地全体の平均変動率は、前年の▲0.3%から+2.2%と、下落から再び、上昇に転じている。新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした、いわゆる「巣ごもり需要」により、ネット通販は好調であることから、物流施設用地に対する需要は堅調で、製造業についても回復基調が認められている。都道府県別の変動率順位は、前年の32位から10位と、大幅に上がっている。
また、2027年度に完成する新名神高速道路への期待感から、京都府南部の工業地の地価は総じて強含みで推移している。
上昇地点数は前年の1地点から20地点と大幅に増加し、下落地点は14地点から4地点に減少し、横ばいの地点は14地点から5地点となった。前年下落していた地点においても、上昇へと転じた地点が多く見受けられている。
京都市内には、南区に6地点、右京区と伏見区に各4地点、山科区に2地点、下京区に1地点の計17地点あり、前年は、横ばいを示した下京区以外、いずれも下落傾向を示していたが、本年は、山科区が微減となった以外、各区の平均変動率は、すべて上昇に転じた。新型コロナウイルスによる新たな物流需要が創出される等、工業地需要は堅調さを取り戻している。
京都市より南部のエリアについては、前年は久御山町が上昇を示し、宇治市、城陽市については下落傾向となっていたが、今年は3市町全て、上昇傾向を示している。
新名神高速道路の城陽-八幡京田辺間が2017年4月30日に開通し、2027年度に全線開通の予定となっている。さらに2028年には名神高速道路と第二京阪道路が接続予定であり、京都南部エリアの優位性が高まっている。一時期に比べ経済状況にやや改善の兆しがうかがえる中、新名神全線開通に向けて、さらなる企業進出の動向が注視される。
京都市より北部のエリアにおいては、綾部市が前年同様、横ばいとなったほかは、依然として下落傾向が続いている。
- 京都府工業地全体の平均変動率は、前年の▲0.3%から+2.2%と、下落から再び、上昇に転じている。新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした、いわゆる「巣ごもり需要」により、ネット通販は好調であることから、物流施設用地に対する需要は堅調で、製造業についても回復基調が認められている。都道府県別の変動率順位は、前年の32位から10位と、大幅に上がっている。
令和3年地価調査の結果による京都府の地価の特徴
(京都府発表資料から抜粋)
【地価調査の結果】
京都府域における基準地価格の平均変動率は、住宅地は前年のΔ0.8%からΔ0.6%と下落幅が縮小し、商業地は前年の0.4%からΔ0.6%と下落に転じた。工業地は2.9%(前年は2.8%)とほぼ同様の傾向を示し、全体としてはΔ0.4%からΔ0.5%となった。
また、継続調査地点(林地を除く)389地点のうち、上昇地点は68地点、横ばいは126地点、下落地点は195地点となった。
【住宅地の地価の特徴】
新型コロナウイルスの感染拡大により、それまで上昇傾向を示していた地価は昨年下落に転じ本年も下落傾向が継続したが、昨年に比べてその影響はやや弱まったと見られる。
【商業地の地価の特徴】
新型コロナウイルスの感染拡大により、店舗系商業地は広範に下落しており、オフィス系商業地についても、空室率にやや上昇傾向が見られることから、地価への下落圧力を認めることができる。
また、宿泊施設への打撃も大きいが、一方でマンション需要のあるエリアについては上昇傾向も見られる。
【工業地の地価の特徴】
新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした、いわゆる「巣ごもり需要」によりネット通販は好調であることから物流施設用地への需要は堅調であり、製造業についても回復基調が認められる。また、2023年度に完成予定の新名神高速道路への期待感から府南部の工業地の地価は強含みで推移している。
令和3年地価公示の結果による京都府の地価の特徴
京都府
府内15市7町の632地点が対象となり、全用途平均は、昨年の+2.6%から▲0.9%とマイナスに転じた。
住宅地全体の平均変動率は、前年の微増傾向(+0.7%)から、▲0.6%と下落に転じ、都道府県別の変動率順位は、前年の12 位から20 位に後退している。
商業地全体の平均変動率は、前年+8.1%から▲1.8%と、上昇から下落に転じた。都道府県別の変動率順位は、前年の2 位から42 位と、大幅に後退した。新型コロナウイルスが観光産業を直撃していることの現れであり、京都府の地価が観光産業にけん引されてきたことを物語っている。
全国における商業地の下位変動率順位において、京都東山5-1(▲13.9%)が10 位にランクインした(昨年は+24.8%、上位63 位)。なお、下落率1 位~6、8、9 位は大阪市中央区の地点となっており、大阪府は、インバウンド消滅の影響が、京都府より色濃く出ている状況といえる。
工業地全体の平均変動率は、前年の+5.6%から▲0.3%と、下落に転じた。新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした、いわゆる「巣ごもり需要」により、ネット通販は好調であるものの、中小規模工場等は厳しい状況となっている。都道府県別の変動率順位は、前年の3位から32位と、やはり大幅に後退した。
- 住宅地
- 平均変動率は、2020年に入って感染が拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、前年の微増傾向(+0.7%)から、▲0.6%と下落に転じた。上昇地点数は前年の188地点から26地点へと大幅に減少し、継続地点数450のわずか約6%(前年は約42%)にとどまった。
新型コロナウイルス感染拡大の影響は、現時点では、商業地より小さいが、雇用・所得環境に弱い動きが見られることから、今後の動向を注視する必要がある。
京都市各区の平均変動率は、前年、山科区のみが横ばいで、他の10区は上昇を示していたが、今年上昇を示したのは、上京区、中京区及び下京区の3区にとどまり、他の8区は下落となり、京都市における平均変動率も+1.8%から▲0.4%と下落に転じた。上昇地点数は前年136地点から20地点へと大幅に減少し、継続地点217地点の約9%となった。(前年は約64%)。
新型コロナウイルス感染拡大により、雇用、所得等への影響を受けやすい層の住宅購入意欲が減退し、特に利便性の劣る住宅地において影響が見られた。
京都市より南部では、前年5市町(長岡京市、向日市、宇治市、城陽市、久御山町)が上昇を示し、1町(宇治田原町)が横ばいであったが、今年は、微増の長岡京市を除き、他の11市町は全て下落を示した。人口減少、高齢化に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響も見受けられ、厳しい状況となっている。
京都市より北部では、平均変動率が前年上昇を示していた亀岡市含め、全ての市町で下落している。但し、亀岡市以外の市町においては、下落幅が拡大する傾向はほぼみられず、新型コロナウイルス感染拡大の影響というより、人口減少、高齢化による要因により地価下落が継続しているものと考えられる。
- 平均変動率は、2020年に入って感染が拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、前年の微増傾向(+0.7%)から、▲0.6%と下落に転じた。上昇地点数は前年の188地点から26地点へと大幅に減少し、継続地点数450のわずか約6%(前年は約42%)にとどまった。
- 商業地
- 京都府商業地全体の平均変動率は、前年+8.1%から▲1.8%と、上昇から下落に転じた。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、物販・飲食店舗系商業地については、売上減少、賃料減額(一時減額含む)等、収益性への影響は否定できず、地価への影響が認められる。オフィス系商業地についても、店舗系と比べて限定的ではあるが、空室率がやや上昇するなどの傾向が認められ、地価への影響が見られている。継続143地点の内、上昇が4地点(前年111地点)、横ばい31地点(前年17地点)、下落108地点(前年12地点)と、上昇地点数の割合は、前年の約79%から、約3%に激減した。
京都市では、前年は11区全てが上昇を示していたが、今回、全区が下落に転じ、京都市における平均変動率は、前年の+11.2%から▲2.1%にまで落ち込んだ。前年は、京都市内の継続98地点のうち、96地点が上昇し、横ばいが2地点と下落を示していた地点はなかったが、今回は、76地点が下落しており、22地点が横ばい、上昇したのは3地点とわずか約3%にとどまった。
京都市より南部のエリアにおいては、商業地の地点を配する8市町の内、前年は、5市が上昇、3市町が横ばいで、下落を示した市町はなかったが、今回は、微増の向日市、横ばいの木津川市以外は、下落を示した。新型コロナウイルス感染拡大により、店舗売上の減少が見られる中、テナント需要は総じて弱いことが影響を及ぼしたものとみられる。但し、販売品種により一様ではない点に留意が必要である。
京都市より北部のエリアにおいては、前年同様、亀岡市と南丹市が横ばいである以外、全ての市町で下落している。下落幅は、京丹波町がやや拡大(▲4.0%→▲5.3%)した以外は、概ね前年同様の傾向をしており、住宅地同様、新型コロナウイルス感染拡大の影響による下落幅の拡大はみられていない。
- 京都府商業地全体の平均変動率は、前年+8.1%から▲1.8%と、上昇から下落に転じた。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、物販・飲食店舗系商業地については、売上減少、賃料減額(一時減額含む)等、収益性への影響は否定できず、地価への影響が認められる。オフィス系商業地についても、店舗系と比べて限定的ではあるが、空室率がやや上昇するなどの傾向が認められ、地価への影響が見られている。継続143地点の内、上昇が4地点(前年111地点)、横ばい31地点(前年17地点)、下落108地点(前年12地点)と、上昇地点数の割合は、前年の約79%から、約3%に激減した。
- 工業地
- 京都府工業地全体の平均変動率は、前年の+5.6%から▲0.3%と、下落に転じた。新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした、いわゆる「巣ごもり需要」により、ネット通販は好調であるものの、小規模零細工場は厳しい状況となっている。
また、2023年度に完成する新名神高速道路への期待感から京都府南部の工業地の地価は強含みで推移していたが、設備投資意欲に一服感が見受けられている。
京都府下全体で継続地点が29地点ある中で、上昇を示したのは、久御山町の1地点のみとなり、横ばいが14地点、下落を示した地点が、前年の2地点から一気に14地点に増加した。
京都市内には、南区に6地点、右京区と伏見区に各4地点、山科区に2地点、下京区に1地点の計17地点あり、前年は、横ばいを示した山科区の2地点以外、いずれも上昇傾向を示していたが、今年は、下京区が横ばいとなった以外、各区の平均変動率は、すべて下落に転じた。従前、米中貿易摩擦により製造業にマイナスの影響を及ぼしていたところへ、新型コロナウイルスの感染拡大が重なったことがその要因と考えられる。
京都市より南部のエリアについては、前年は5地点全て+6.1~+8.6%の上昇を示していたが、今年は久御山町の1地点が上昇、2地点が横ばいとなったほかは、宇治市と城陽市の地点は下落に転じた。新名神高速道路の城陽-八幡京田辺間が2017年4月30日に開通し、2023年度全面開通の予定となっているほか、2028年頃に名神高速道路と第二京阪道路が接続予定であり、京都南部エリアの優位性が高まっていることや、規制が緩やかなこともあり、京都市から府南部の久御山町や城陽市等に需要がシフトする傾向も見られているが、新型コロナウイルスの影響により、様子見状態となっている。
京都市より北部のエリアにおいては、綾部市の地点が上昇から横ばいに、京丹波町の地点が横ばいから下落に転じたほかは、前年と同じ傾向を示している(横ばい又は下落)。南部エリアに比べ、北部エリアは消費地としての規模が小さく、物流倉庫の立地としては厳しい環境にある。
- 京都府工業地全体の平均変動率は、前年の+5.6%から▲0.3%と、下落に転じた。新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした、いわゆる「巣ごもり需要」により、ネット通販は好調であるものの、小規模零細工場は厳しい状況となっている。